膀胱炎のお話。編

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女性にとって身近な病気、膀胱炎
疲れたり冷えたりするとすぐ繰り返すし、厄介ですよね。



私も学生時代、研究室仲間と卒業旅行に行ったとき沖縄で膀胱炎になり、旅行の計画をひっくり返してまで友達が病院を探してくれたことは一生忘れない。

ちなみにクラビット500mgを5日分、院内処方だった。(甘酸っぱい沖縄の思い出♡)



今回のブログは対処法でもなく、ただのまとめ的なやつで、みなさんのお役に立つかわかりませんがどうぞ一読ください。



膀胱炎について





膀胱とは、おしっこを貯めている袋のような臓器。





膀胱炎は、大腸や直腸由来の細菌(主に大腸菌)が尿道から逆流し、膀胱の中で増殖することによって起こる。まれに、細菌の感染がなくても膀胱炎を発症する場合もある。




一口に膀胱炎といっても原因によって様々な種類があり、今回は大半を占める単純性膀胱炎の話をする。



膀胱炎は圧倒的に女性に多い。肛門と尿道が同じ並びにあり距離が近く、尿道自体も短いため、菌が膀胱に到達しやすいからだ。多くの女性は生涯で一度はかかると言われている。



原因





・冷え、ストレス、疲労による免疫力低下

・トイレを我慢しがち

下痢をした後

性交

・閉経後
(閉経後の女性は膣内の常在菌が減少しており、膀胱炎を繰り返しやすい)



症状





・排尿時の痛み特に後半にかけて

・尿の白濁血尿

頻尿・残尿感(10~30分でまたトイレに行きたくなる)



※膀胱炎は発熱を伴わない。夜中に高熱が出たり、背中に痛みがある場合は腎盂腎炎の可能性がある。



治療





原因の90%が大腸菌と言われているので、病院に行って抗菌薬をもらう。



そして自分でできる治療として、水をたくさん飲んでたくさん出す!
排尿が痛いので飲水を控えたくなるが、原因菌を身体から出してしまわないと治らない。



病院で処方される薬





ニューキノロン系抗菌薬

★幅広い抗菌スペクトルを持つ。

★殺菌性。

濃度依存型なので高用量をドンと服用する方が効果が得られる。そのため錠剤がこんなに大きい。でも1日1回でOK。

★大きな錠剤が苦手なら薬剤師に遠慮なく相談を!おそらく250mg×2錠にかえてもらえる。

★昔受診した泌尿器科の医師は、レボフロキサシンは80%が未変化体のまま腎排泄されるので尿路感染症にはファーストチョイスだと言っていた。

★最近では大腸菌の40%はレボフロキサシン耐性を持つ

妊婦禁忌

★ロキソニンやボルタレン等の痛み止めとは2時間あける。
(5000人に1人くらい痙攣の副作用あり)

★マグネシウム、アルミニウム製剤も1~2時間あける。
(効果が弱まる)



「膀胱炎にニューキノロン系抗菌薬を出すのは蚊を殺すのに原爆を使う/ハエを殺すのにミサイルを使うようなものである」とよく比喩される。

確かに膀胱炎は治るのだが、適切な処方ではない。本当にニューキノロン系抗菌薬が必要な、重篤な感染症にとっておくべきである。



ハエはハエたたきで。



セフェム系抗菌薬

★幅広い抗菌スペクトルを持つ。

★静菌性。

時間依存型であり、長時間菌を抗菌薬にさらすことで効果を発揮する。だから1日3回飲む必要がある

★感染症専門医いわく、膀胱炎にはβラクタム系(ペニシリン・セフェム系・カルバペネム系)が第一推奨。ペニシリン系単剤は耐性が多くNG.

★高齢女性は大腸菌におけるキノロン系耐性率が高いため、セフェム系薬を第一選択とする。

★バイオアベイラビリティーの低さに定評がある。内服しても腸管吸収されにくく、飲んでも下痢するだけという考え方もある。

★小児(特に1歳前後)はピボキシル基を有する抗菌薬で低血糖を起こすことがある。



私の好きな北Dr.の記事↓

だいたいウンコになるので専門家に通称DU薬(DAITAI UNKO)とすら呼ばれる抗菌薬について知っておきたいこと
今回は、かぜに限らずどんな場合でも、あまり使わない・使いたくない抗菌薬についてのお話をしたいと思います。「え! そんなのがあるの!?」と思われるかもしれませんが…残念ながらあるのです。




ST合剤

★サルファ成分とトリメトプリムが微生物の葉酸合成経路を別々の機序で阻害する。

★古い薬。今でも使うの?というイメージだが、むしろアメリカではこれが膀胱炎の第一選択

★日本では血液障害の副作用リスクゆえ、バクタ自体が”他剤が無効な時の第二選択”という位置づけ。外来患者に持ち帰らせる薬として一般的ではないのかもしれない。

★安価。

妊婦禁忌。特に初期はダメ!

★QT延長や低血糖にも注意。



薬学生時代『ST合剤と言えばニューモシスチス肺炎!』とほぼ1:1で覚えていたが、残念ながらニューモシスチス肺炎の患者さんは処方箋を持って歩いて薬局には来ない。薬局でバクタが動くのはステロイド高用量時の肺炎予防くらいだった。

しかし最近、ニューキノロン系抗菌薬の使い方が見直され始めたせいか、膀胱炎処方で薬局のバクタが動くようになった。



余談





私の主観だが、個人で開業されているクリニックからの膀胱炎処方は上の二択、それに対して大きい病院の泌尿器科・内科からはST合剤がよく処方されているように思う。



そして、膀胱炎の抗菌薬処方は5~7日分をよく目にするが、感染症の専門医いわく3日分で十分だそう。腎盂腎炎なら7日分。



ニューキノロン系は耐性が多いしセフェム系は吸収率が良くないし、もう膀胱炎に抗菌薬は要らない!たくさん水飲んで菌を流し出せば3日程度で治る!という医師もいる。

抗生剤が効いて尿検査の結果も改善しているにも関わらず症状が続く場合は、猪苓湯五淋散等の漢方が使われることもある。(次項で解説する)



市販薬って効くの?





抗菌薬は市販できないので、抗菌薬が欲しい場合は受診するしかない。

市販している膀胱炎の薬はたいてい排尿を促す漢方薬だが、休日や旅先で膀胱炎になった時、ないよりはあったほうが良いと思う。



腎仙散

腎仙散(ジンセンサン) | ドラッグストア マツモトキヨシ

抗菌作用、利尿作用、消炎作用を持つ生薬から構成されている。

・利尿作用があるのでむくみにも効果がある。

・市販薬の中ではわりと評判は良い。



五淋散

・尿路にまつわる症状を改善するための漢方。

・抗菌作用、抗炎症作用、傷修復・血流改善作用、利尿作用のある生薬で構成されている。

・体力の低下した人に。

・地黄が入っているため、胃腸の弱い人には向かない。

・「当帰芍薬散+抗菌+利尿」という感じ。



膀胱などの炎症にボーコレン(排尿痛、残尿感、頻尿に)/小林製薬
おしっこをした時のツーンとした痛み、何度もトイレに行きたくなる…でも出ない。ムズムズする残尿感、頻尿にもしっかり効く!1つでもあてはまったら試してみて。小林製薬の「ボーコレン」公式ブランドサイト。膀胱が炎症を起こす原因や予防策、対処法もご紹介。セルフチェックやWEBからの購入ページもこちらから。





猪苓湯

・利尿、抗炎症作用のある生薬で構成されている。

・色白で尿量が少ない人に。

・抗菌薬治療後、検尿所見が改善しているのにまだ膀胱炎様症状を訴える患者に医療現場でよく使われる。



竜胆瀉肝湯

・炎症を冷まし、水分循環を改善し尿の出をよくする。

排尿痛が気になる症状に。

・比較的体力のあり、冷えのない人に。



余談





膀胱炎に漢方、効くのだろうか?

以前、膀胱炎になったが休診日だったと相談に来られた患者さんに上記のOTCを販売したが、数日後、結局治らなくて抗菌薬の書かれた処方箋を持ってこられたことはある。

私もまだまだ情報収集の段階だ。



ちなみにボーコレンのパッケージには”膀胱炎”という言葉が書かれていない。診断し病名をつけることは医師しかできないから、パッケージに病名を書けないというOTCならではの事情があるのだ。

2020年9月に発売予定のヒアレインS(ヒアレイン点眼のスイッチOTC)も、乾き目に販売するくせにドライアイには販売不可になっている。一瞬訳がわからないが、これと同じ理論だそう。



再発予防





・水分をしっかり摂ってしっかり出す。

・トイレを我慢しない。

・生理用品の交換はこまめにする。

・排便後は前から後ろへ拭く。

・性交後は排尿し、シャワーを浴びる。





膀胱炎は1年以内に25%が再発する。症状もわかりやすいので自己診断の的中率は尿検査に匹敵すると言われている。繰り返す人からしたら「またか。」となる。

しかし!
どうせまた膀胱炎になるだろうからと抗菌薬を取っておかないこと!

例えば、7日分処方された抗菌薬を4日だけ飲んで、あと3日分を予備に置いておき自己判断で服用すると、耐性菌を作る機会を2倍にしていることになる。



最後に





大腸菌の大きさは、トイレットペーパーの網目の約100分の1
よって、トイレのあとおしりを拭いて手を洗わなければ、自分の大腸菌をバラ撒くことになる。犯罪レベルのマナー違反だ。

同様の理由により、洗う前の手でトイレットペーパーの三角織りはダメ・ゼッタイ。



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